数百kmに及ぶ広大な高速道路に設置される電気関係設備。それらはまるで人の体をめぐる血管のように、ネットワークの隅々まで張り巡らされ、高速道路の運用をささえています。24時間休むことなく稼働を続ける高速道路の設備を、常に健全な状態に維持するためには、これら設備のきめ細やかなメンテナンスが必要不可欠です。
機器の正常な稼働を確認する日常点検をはじめ、設備トラブルに対する緊急対応など、私たちの仕事はさながら「高速道路のドクター」。徹底した原因の究明や、改善策を提案します。
また、将来発生が予想される問題に対して、トラブルを未然に回避する「予防保全」にも取り組んでいます。これまでに蓄積された膨大なデータをもとに、高い技術力と実績を活かしたメンテナンススケジュールを提案し、トラブルのない快適な道路を目指します。
高度経済成長を迎えた1964年に開業し、都市の発展に合わせて拡張を続けてきた阪神高速道路のネットワーク。現在も、関西都市圏の経済活動や暮らしを支える動脈として、新たな道路が造られるとともに、すでに半世紀を経過する構造物の一部は更新を図ることで最新の道路として生まれ変わります。
構造物に設置されている様々な機器においても、常に技術革新が図られており、これらを高度な知識と最新の技術を用いて設計することで、常に快適な道路サービスを提供することが可能になります。
当社では、新たに設置される電気通信設備に対して、設置条件を考慮した配置場所の選定から、設備の設計、関連データの収集・資料の作成まで、各種認定資格を有する高い技術力を備えたエンジニアが、ニーズに対して必要かつ最適な提案を行います。
毎日数十万台に利用され、絶え間なく車が行き交う阪神高速道路において、工事やメンテナンスによって発生する交通規制や通行止めなどは交通の流れに影響を及ぼし、お客さまの負担となりサービスの低下につながってしまいます。
これら、設備の施工によって発生するリスクを最小限に抑え、迅速、かつ確実な施工を行うことは、利用するお客さまに質の高い道路サービスを提供することにつながる重要な取り組みのひとつと考えられます。
また、私たちの仕事場である高速道路は、開通前の新たな道路だけではなく、その多くは車が行き交う供用中の路線です。そのため、施工に細心の注意を払い、高速道路を利用するお客さまと現場のエンジニア達の安全を共に確保することを最優先とし、安全かつ効率的で高度な施工管理を実現します。
当社では、お客さまの様々なニーズに応じた人材をご紹介する労働者派遣事業を行っています。その他にも電気関係設備に係る業務について、経験・実績豊富な”電気通信のプロフェッショナル”がプロジェクトの成功をサポートいたします。
24時間体制で電気・通信設備を見守り
安全・快適な高速道路運用を支える
[ケース1]高圧ケーブルの異常発生から復旧まで
道路上の電気・通信設備(以降、設備)の運用状況が把握できる監視室には監視員が常駐し、24時間体制で設備を見守っています。異常が発生すると監視員が状況の把握と設備の復旧に向けて、動き出します。今回は、高圧ケーブルの異常発生からその復旧までのケースで私たちの仕事をご紹介します。
- 設備に異常発生! 状況を把握せよ!
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高圧ケーブルの異常を検知すると監視室の電力遠制操作卓では、通常運用している配電線が予備系に自動で切り替えられます。監視員は停電の状況と、照明や通信、交通管制設備を始めとする道路上の設備の稼働状況を確認します。
監視員はこれら把握した情報を元に、阪神高速道路の交通管制室をはじめ各方面へ障害状況を報告します。次に、緊急連絡網にて、復旧作業に必要となる人員確保し、緊急隊員を各所(受電所•変電塔など)に出動を指示します。 - 緊急隊員出動! 安全に注意して異常箇所を絞り込め!
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異常が発生した地域に張り巡らされた数十kmもの高圧ケーブルから異常箇所を絞り込むため、複数の受電所や変電塔を調査します。
周囲に運用側の高圧ケーブルが近接する箇所で作業を伴うため、隊員は高圧に耐える手袋、長靴などの安全保護具を着用します。危険箇所を把握しながら、感電などの事故が起こらないよう細心の注意を払って作業を行い、異常がある範囲を数kmまで絞り込みます。 - 異常を発見! 迅速に設備を復旧せよ!
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異常箇所の特定と復旧のため、絞り込んだ該当区域に急行します。数kmとはいえ範囲は広く、まずはじめに、ケーブルに電圧を加えると異常箇所に電流が集中するという性質を利用した測定作業を行います。
作業現場は運用中の高速道路。路下には一般道路があり、工具やペンを一本落とすことで大きな事故につながる恐れがあります。高所や狭くて点検が難しい箇所などは、作業者および周辺の安全を鑑みて、必要な場合には関係各所と協議して交通規制などを行います。
点検作業を繰り返し、発見した異常箇所は専門の技術者が補修作業を行い、補修箇所へ電圧をかける試験を行い健全性を確認します。
このように、高速道路を見守るエンジニアの仕事は、屋内にとどまることなく道路を駆け巡り、高度な技術と集中力を要する作業を行うために、日々の経験や技術の習得、さらには強靭な体力・精神力を備える必要があり、それが当社エンジニアの自信であり、誇りでもあります。